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敬倫塾からの提言

学力テストの成績公表は是か否か


 皆さんは、新聞等で学力テストの公表の記事をお読みになっていると思います。どうやら愛知県は、学校名の公表をしないことになったようです。
 私が指導をしている本校の中等部に通塾している公立中学生は、ほとんど若葉中学と八王子中学生です。八王子中学は、かつて公務員宿舎に住んでいる生徒達の比率がとても高かったです。公務員宿舎というのは、地下鉄の名城公園の近くに建っているものです。国家公務員の人は、短い時は2年間で転勤です。なかには、父親だけが単身赴任という家庭もありますが、たいてい一家全員で転居します。国家公務員に勤めている人の家庭は、だいたい4〜5年で転居を繰り返すことが当たり前のようでした。そのため、私はどこに転居しても大丈夫な学力を、通っている生徒全員につけようと指導してきました。ですから、ほとんど転居する人のいない若葉中学の人達にも、どの地域に転居しても遅れをとられないような指導をしてきました。そのため、敬倫塾の授業は学校に比べて難しすぎるという声をよく聞きました。しかし、そういう指導をしてきたがため、高校進学後も良い成績を維持することができ、難関大学への進学を多くの人が勝ちとれたのだと思います。もし、学校の定期テスト対策に明け暮れるような指導をしてきたら、今日のように、多くの皆さんに信頼されることはなかったと思います。 
 ところで、皆さんは、学力テストの成績公表をどのようにお考えですか。私なりにデメリットとメリットを考えてみました。私達が何を言っても、それが反映されることはないでしょうが、現実を知っておくことは大切なように思います。

(デメリット)
1.学校間の序列が明らかになると、自校の成績を上げるため、行き過ぎたテスト対策をしかねない。そのため、じっくりと教科指導ができない。
2.成績優秀校には、多くの生徒が集まり、そうでない校は、生徒の数が減少し、序列化が更に進む。
3.学校間、教師間の競争意識が過度になる。
4.成績不良校は補習等の要望が出ると、それに応えるため、教師の負担が増となる。

 私はこれらのデメリットはすべて次にあげるようなメリットに変えられるように思えるのですがどうでしょうか。

(メリット)
1.日頃の授業を充実させ、その成果が自己満足に終わっていないかを検証するために学力テストを利用する。
2.成績に問題がある校は、生徒の数が減少する。そうなれば、クラスの指導人数も減少し、指導の徹底は容易となる。また、自校の実態をしっかり認識したら、改善しようという機運がおのずとうまれてくる。
3.教師間では、よりわかりやすい授業をしようという意識が芽生える。過度になるかどうかは、教師のモラルではないかと校長が適切な指導をすれば解決できる。
4.中学校の指導担当者は高校に進学したとき、落ちこぼれないように配慮をしてあげることが、当然ではないだろうか。生徒のヤル気を引き出せるのなら、補習は負担になるが、引き受けた方がよいのではないだろうか。本来、先生の喜びは、自分の担当する生徒を成長させることだと思う。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2013年12月15日号