私立中学入試を考える皆さんへ 合否の鍵は算数が握る 2011年5月15日号
我国の景気は長く低迷しています。しかしながら、私立中学への進学希望者は減少することはありません。少子化が進んでいるにもかかわらず、希望者の割合は増加傾向にあるといえます。
関西圏では灘校などの上位校で入試教科を国語・算数・理科とする3教科型を採用しており、また3教科型・4教科型の選択制を採用する学校も増加しています。名古屋ではどうなっているか御存じですか。入試教科とその配点をみてみましょう(※表1参照)。どの中学も入試教科は4教科です。
表1 入試教科とその配点
(注1)偏差値データは育伸社学力テスト(Bタイプ)
最難関校の東海と南山女子は4教科の配点が全て同じです。南山男子は、社会が100点満点で残りが200点満点です。その他は、理科・社会の配点が国語・算数の半分です。
このことから、各中学が国語・算数の学力を重視していることがおわかりになると思います。ですから、将来、受験をする可能性がある方は、小学校低学年の頃から国語・算数の実力をつけておくことが必要です。
さて、次に、合格者の各教科の得点率についてみてみましょう。(※表2参照)
表2 合格者の各教科の得点率
(注2)22年度入試結果
東海と南山女子の算数の合格者平均点に着目して下さい。どちらも約55%です。ということは、問題がかなり難しいので、70%正解できれば非常に優秀であるといえるのです。ですから、大問が2つできなくても合格の可能性が大きいといえるのです。理科・社会については、年度によっては合格者平均が80%を超える学校もあります。次に、滝の算数の合格者平均を見て下さい。東海や南山女子に比べてかなり高いですね。これは、出題傾向が全く異質であることを物語っています。
ところで、名古屋中学の算数の合格者平均は少し異常に思えませんか。他の中学と比べても、また、同中の他の教科に比べても得点率が異常に低いのです。私は昨年、名古屋の過去問を7ヶ年分解きましたが、東海の入試問題よりも難解なものが、このところよく出題されています。算数の学力のある者を確保したいという学校側の考えがよく表れているといえます。
この2つの表から算数が私立中入試の合否の鍵になっていることがおわかりになったと思います。私は本校で私立中学受験科の算数を今年から指導しております。疑問に思うことがございましたら遠慮なくご質問下さい。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2011年5月15日号