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敬倫塾からの提言

危険な高校生 〜将来を考えない高校生の急増〜  2011年1月15日号

 毎年、中学3年生の進路指導をして考えることがある。保護者の方も本人もできるだけ大学進学実績の高い高校への入学を希望する。では、そういった高校に入学できるように日頃からコツコツ勉強してきたといえるだろうか。ほとんどの生徒が「ノー」としか言えない。塾というものがなければ、学校の宿題しかやらないという生徒がどんどん増えている。
 一方、塾の方も、そういった中学生達や保護者の人達の要望を聞き、日頃は基礎レベルのことだけしか教えず、「定期テスト対策なら塾にお任せ下さい」と平気で言う。北区は成績優秀者の多い文教地区だろうか。そうではない。だからこそ、試験直前にちょっと頑張れば、すごく良い学年順位がつく。日頃の努力などなくても直前の勉強だけで良い成績をとっていた者が悲惨な目に 遭うのは高校入学後である。
 今年、敬倫塾で勉強している高校1年生の中にも、自分をコントロールして部活との両立を図っている者はほとんどいなさそうである。私が敬倫塾に高等部を創ったのは、中学時代によく頑張った人達の夢をかなえるためであった。難関高校に進学した者の大部分が高校入学後に急激な成績低下に苦しんでいた。波のない穏やかな池や湖で泳いでいた者が、荒れ狂う海で泳がされるのと同じことを味わっていた。今から思うと、卒塾生のうちで、20人に1人くらいは、大きく飛躍していったが、1年生の頃から部活にのめりこんでいった者は、大学入試で惨めな思いをした。一方、高校1年生の頃から、コツコツ勉強した者は、殆ど希望通りの大学等に進学できた。
 大学までの進学を考える人達は、15歳で中学を卒業し、18歳で大学を受験する。順調にいけば、その4年後には社会に出る。このとき必要となるのが学歴である。今は、かつてない「就職氷河期」である。就職に強い大学は当然人気が高い。その大学に入学し、更に優秀な成績をおさめ、人より優れた実社会に役立つスキルをもっていなければ、就職は難しい。スポーツ等で生活できる人間なんてほんの一握りしかいない。だからこそ、スポーツ等はあくまで自分をリフレッシュするものとしての活用を考えるべきではなかろうか。男なら、今や65歳まで働かなければならない。高校3年間で自分の人生の第1歩が決まると言っても過言ではない。
 ところで、昨年の大学受験生のことを振り返ってみようと思う。残念ながら希望通りの大学に進学できそうだと思えたのは、たった1人であった。その生徒は、高校進学後も気を緩めることなく勉強とスポーツを両立していた。そして当初の目標通りの大学の学部に推薦で合格を決めた。ところが、考えが甘いと思っていたほとんどの者達が、自分の希望の大学に合格してしまった。指導者である私達から見て甘いと思っている塾生の外には、想像もできない程、勉強をしていない高校生がいるのだ。3年生になって大学進学のための勉強を始めたって、なかなか今までの遅れを取り戻せるものではない。そういった人達は、浪人するか不本意な大学に入学するしかない。
 日頃の蓄積は高校3年生になったとき成果を発揮する。もうすぐ中学を卒業する人達、私立中学に進学する人達、自分を大切にするため、入試が終わったら受験勉強はもう終わりと思わないでください。毎日の積み重ねが、自分を信じられない程の魅力ある人間に変えていきます。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2011年1月15日号