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敬倫塾からの提言

学力テスト地域差固定 〜小6下位は入れ替わり〜 2009年9月15日号


(前略)
 都道府県別の平均正答率では、福井や秋田が3年連続で好成績を挙げ、上位の地域間の学力差が固定化する傾向が顕著になった。
 小6は下位に入れ替わりが見られた。
 中3では上位、下位とも固定化が見られ、テストを担当した文科省の岩本健吾参事官は、「小学生でつまずいたままにすると、中学生で取り返しがつかなくなる」と分析。小6の下位で顔触れに入れ替わりがあったことについては、「テストを契機に学力向上への取り組みの流れが出てきたのでは」としている。
 全国の平均正答率は国語、数学・算数の2教科とも、知識を問うA問題より活用力を問うB問題が2.4〜23.8ポイント低かった。
(中略)
 文科省は「好成績の県は、漢字の書き取りや計算にかなり力を入れている。粘り強く問題に取り組む学習態度が身についており、思考力の鍛錬ができている。学校も宿題を積極的に出している」と分析した。
(中日新聞 2009年8月28日(金) 朝刊より)

 大阪府では、知事が橋下氏に代わってから、全国最下位の汚名を返上する為、日頃の学習を強化したと聞く。漢字の書き取りや100マス計算を実施する小・中学校も増えたようだ。そのおかげで知識問題の正答率は向上したが、応用力には大きな差が出ているという。私は現在、本校の小学生に算数、中学3年生に英語を教えている。また、今年の夏休みに、久しぶりに中学3年生に数学を教えた。
 3月から本科の授業を受けた小学5年生でこんなことを発見した。たし算での間違いは少ないが、引き算の間違いは多い。かけ算の九九はできるが、3桁×3桁の筆算では間違いが多い。図形に関する問題の苦手意識が高い。文章題をじっくり読むことが苦手な者が多い。
 小学6年生では、5年生の時に学習した割合についての知識が定着していない。文章を理解する力が乏しいため、文章題になると、あっさり諦めてしまう者が多い。
 また、中学3年生では、小学生時代に学習した内容が定着していないままでいる生徒が多いことに驚かされた。また、中学の内容も基礎的なものなら何とかできるが、応用した問題は全く手が出ないから、やろうとしない者が多いことがわかった。
 現在の愛知県の公立高校入試では、当日の学力テストで大きな差がつく。授業中の態度が良かったり、提出物をきちんと出している生徒は、通知表で好成績を修めているが、それに安心し、実力を強化していない生徒の割合はここ最近急増している。その為、内申点は良かったのに公立高校の学力テストで失敗する者が多くなっている。
 今、自分のしたいことはとことんやる風潮が強くなっている。それをしながら、難関高校や難関大学に進学したいという希望をもっている者は多い。しかし、自分のやりたいことを完全にやりながら、短時間で実力をつけているスーパースターのような生徒はほんの一握りしかいない。スポーツ・芸術等で、日々の練習の大切さが叫ばれているのに、なぜ、学力の充実についてはそれが叫ばれていないのだろうか。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2009年9月15日号