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敬倫塾からの提言

ノーベル賞と名古屋大学理学部  2008年11月15日号

 2008年のノーベル物理学賞に3人の日本人が、そしてノーベル化学賞に1人の日本人が選ばれた。計4人のうち何と3人が名古屋大学の理学部で研究をしていた。就職を考えるのなら工学部、研究を考えるのなら理学部とよく言われる。これで、今度の大学入試で名古屋大学の人気が高まることになるだろう。

 ところで、この中の2人について、少し注目したい。
【益川 敏英 氏(68)】
1940年名古屋市生まれ。
昭和区の北山中学から名古屋市立向陽高校に進学。
67年名古屋大大学院博士課程修了。
【小林 誠 氏(64)】
1944年名古屋市生まれ。
東区の冨士中学から愛知県立明和高校に進学。
72年名古屋大大学院博士課程修了。

 今年、暑い8月にオリンピックが開催された。日本人の多くの人達が、日本人の活躍を期待した。また、プロ野球では、地元の中日ドラゴンズの活躍に期待する人達も多い。自分に直接の関わりがなくても、自分の周辺で何か素晴らしいことが起きると、ほとんどの人達がそれを素直に喜ぶ。時にそれは、私達にヤル気と勇気をもたらす原動力となることがある。
 名古屋の最難関公立高校といえば、旭丘高校だ。次に位置するのが、明和高校と向陽高校だ。私達が住んでいるこの地は、幸いなことに交通の便が良い。従って、どの高校も通学には便利だ。塾生の皆さんが、彼らのように夢の実現に向けて自分を鍛えることを期待したい。
 ところで私は、現在の高校生達の多くに不安を抱いている。益川氏や小林氏が高校生だった頃、一般庶民にとっては、経済的なことを考え、学びたければ国公立大学への入学しか考えられなかった。当然、大学への進学を考える者は、超天才級の人でない限り、よく勉強したと思う。また、当時はまだ予備校の存在価値は低く、全国統一模試も小規模であった。従って、大学に進学したければ高校時代に一生懸命勉強するのが当たり前だった。
 今の高校生諸君はどうだろうか。高校生時代は部活等を精一杯し、浪人して予備校に行き、大学を目指す者が多くなっている。明和高校や向陽高校に在学している人達にとって、今回のノーベル賞受賞は嬉しいことであるが、その人達がどんな学生生活を送っていたかも考えて欲しい。彼らは目標に向かって地道な努力をしていたと思う。では、君はどうなのだろう。毎日、部活等でくたびれ、予習や復習を疎かにしているのではないだろうか。入学した高校が大学への入学を保証しているのでは決してないのである。夢を持ち、頑張った者達にしか、明るい将来が約束されていないことをしっかりと認識して、毎日を過ごして欲しいと願っている。
敬倫塾塾長 加藤敬志
2008年11月15日号